2月9日(水)晴れ
ミラノ発パリ行きのユーロライン国際夜行バスはけっこう空いていて、私は2人がけの席に1人で座った。バスの旅は初めてでわくわくする。この長距離バスにはトイレやテレビがついていた。テレビでは映画「仮面の男」がイタリア語の吹き替えで放映された。セリフはさっぱり分からなかったが、イタリア語を話すデカプリオが新鮮だった。日本語吹き替えだって同じことか。
国境でパスポート検査と入国の手続きをとるためいったんバスを降りる。その後、バスは途中にドライブインのようなところで食事休憩のため少し長く停まった。私は売店でスナックなどを買った。1人、外にでると建物のすぐとなりに小さな公園があった。
誰もいない公園で私はぶらんこに座った。星がすごい良く見えた。
時間になってみんな外にでてきて、さっきの日本人の2人組が空を見上げてつぶやいた。
彼女「星がすごいね」
彼「なー、山田でもこんなにみえないよ」
私は耳を疑った。「山田」の地名に聞き覚えがあったからだ。 私の地元も山田だ。聞き間違いということもあるので、遠回しにきいてみた。
私「どこからきてるんですか?」
彼「埼玉県です」
私「埼玉のどこですか?」
彼「川越市」
私「え、私も川越市なんですよー」
彼「えぇ、ほんと?」
私「地区はどのあたりですか?」
彼「えーと、山田ってところだよ」
私「あれ~私もだよ!えっと、歳は?」
彼「23」
私「同じじゃん!?名前は?」
彼「・・・○場」
私「○場!?私、○倉だよ!」
彼「○倉っ?!」
なんと中学校の同級生だった。
6年ぶりの顔合わせだった。しかもイタリアとフランスの間のどこだかも分からないドライブインで。どれだけ驚いたかは想像にがたくないであろう。
一緒にいた彼女がぽつりとつぶやいた
「何で今まで気づかなかったの?(笑」
バスの中で今までのことやトラブってることなどを話した。
数時間後の深夜、2人は留学先であるリヨンで下車した。私は寝ていたが、出てゆく2人に気づいて別れを告げた。
「無事帰国したら連絡するね 」
地球は広いようで狭いのかもしれない。
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