ドイツ鉄道の旅'99

21歳ドイツ一人旅ロマンチック街道を行く鉄道の旅-ミュンヘン編

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2月8日(月)
ドイツでの一夜が明けた。
一度深夜の1時頃に人が入ってきて目覚めたが(寝ぼけてても目が合って”ハロー”と言った気がする)次に起きたのは4時ごろだった。まだ他の同室の人は寝ているのでしばらくはじっとしていたが、眠れないので5時ごろになってそっと部屋を出た。
そしてシャワーが使えるかどうか確認してみた。いくらひねってもだめだった蛇口を”ひねってだめなら押してみな、とばかりに押したら

シャー!

ビックリ水が出た。なんだ出るじゃないか。 押したら出る仕組みだったらしい。しかしシャワーは水だった。となりのヴォッシュルームも確認したらこちらはお湯が出たので、そこで洗髪をした。
皆が起きるまでは出入りも作業も暗闇でこそこそとやりにくかった。6時ごろになってやっと皆さん起きたので電気をつけることが出来た。
7時前には着替え、メイク、パッキングをおえてロビーへ下りた。今日のスタイルはエンジのズボンにピンクのブラウス、その上に白いセーターを着た。ソファーで日記の続きを書いた。7時が朝食の時間だ。地下の食堂へ下りた。
広くて清潔な食堂だった。嬉しいことにコンチネンタルブレックファーストでビュッフェスタイルだった。パン(ジャム、バター)、ハム、チーズ、コーンフレーク、などなどにコーヒー、紅茶、ココアやミルクなどの飲み物が好きに食べ飲み出来る。
一泊この朝食付きで2000円しないなんてだからYHは好きだ。宿というよりどちらかと言うと合宿所のような感じだが相部屋だって今の(若い)私にはまったく気にならない。
朝食をとりながら窓の外を見ると7時だと言うのに真っ暗。明け方とは思えない暗さだった。
そして雪がちらほらと降っていた。

7時半、朝食を済ませてすぐにチェックアウトをした。早めにYHを出た。外は薄暗く少し雪が降り積もっていた。寒いと言えば寒いが日本の寒さとそんな変 わりはなかった。日本より緯度が上なので寒いだろうと思っていたが心配したほどではなかった。今冬用に調達した赤茶色のロングコートで十分しのげる。
赤いチェックの折りたたみ傘を広げて歩いて駅へと向かった。雪道でキャリーバックを転がすのはなかなか不便であった。

昨日通った橋を渡る。橋から見る街が雪景色に埋もれてとても幻想的に見え た。ふと教会の鐘の音が聞こえた。ドラマチックなシチエーションだ。マイン川沿いを歩きながら駅へ向かう途中何枚か写真を撮影した。一人旅では写 真を 撮るのに苦労を要する。人がいれば頼めるのだが、いない時はどこかカメラの置ける場所を探してタイマーで撮る。面倒だしちゃんと撮れてるか分からない 上、一人でカメラに向かってポーズするので人に見られると少し恥ずかしかったりする。しかし旅の記録として残したいので開き直ることにしている。

駅へは30分程でたどり着いた。多少雪まみれになった。今日は鉄道でミュンヘンへ向かう。初めてジャーマンレイルパスを使用するのだが、最初にどこか窓口で使用開始のスタンプを貰わなければならない。
窓口が分からなかったので、インフォメーションのおじさんに尋ねた。紳士のような口ひげをはやしたおじさんはとても親切に教えてくれた。
窓口でお姉さんにスタンプを貰いDateを書いてもらった。これで今日から使える。

ミュンヘンまでは列車で約3時間半かかる。そのためYHを早めに出たのだった。時刻表を見る。8時47分発のICE(InterCityExpress)が丁度よい。時速280キロのいわゆる高速新幹線だ。パスがあれば追加料金なしで乗れるから便利だ。ヨーロッパの鉄道はなかなか複雑で、分かりずらい。
陸続きで国がつながっている為、国内列車だけでなく国際列車もあるからだ。離れ島に住む日本人にはいまいち慣れない。
広い大陸を遠く移動する列車には食堂車や寝台車などが付く訳だが、日本との文化の違いだなあと思った。

出発まで時間があるので、駅内を散策した。お菓子やジュース、ポストカードなどが置いてある売店へ入った。お菓子とジュースを買った。店のおじさんは片言で日本語を話してきて面白かった。

ホームで列車を待つ。先程買った缶のコーラをペットボトル(持参)に移していてこぼした。手がべとべとになったが手洗いへ行く時間はないのであきらめた。
と、ふと”ハロー”と声をかけられて目をやるとおじさんが無言で紙ナプキンを差し出してきた。一瞬面食らったが、ありがたく受け取った。なんて親切で気が利くんだろうと感心した。

時間近くになり、ICEがホームに入ってきた。列車は普通1等と2等に分かれていて、
1等は割高になっている分設備環境がよい。もちろん私は2等のパスなので2等の車両に乗り込んだ。
2等でもICEはそんなに不便ではないしそれなりに清潔だった。入り口近くのコンパートメント(ボックス席)に入った。6人席で女の子が一人真中に座っていた。私は窓際に座ったが、後から入ってきたおじさんに何か話し掛けられた。
ハットしてその席が予約席であることを悟った。窓際の席はよく予約席になると何かで読んだことがあったのを思い出したからだ。「Sorry」と言いつつ、荷物を下ろして部屋を出ようとしたが止められた。?と、戸惑っていると下ろした荷物をおじさんがまた上へ上げてくれた。どうやら予約席なのは窓際の2席だけのようだ。入り口側に移動して一件落着。以後気をつけようと思った。 最初にいた女の子も多分一人旅らしく大きなバックパックを持っていた。お互い挨拶程度しか交わさなかったが、目が合うと笑顔を返してくれた。そうこうしているうち列車は出発していた。9時半頃Mannheim駅に止まった。
私以外の乗客はそこで皆降りて行き、違う客が5人またはいってきた。5人は家族のようだ。挨拶だけして私は始終日記を書いていた。ふと窓の外に目をやると雪の田園風景が広がっていた。

 10時15分頃、Stuttgart駅についてコンパートメントは空になった。私は窓際へ移った。出発して少ししておじさんが一人入ってきて私の斜め向かいに座った。
私はガイドブックを見たり日記を書いたりしながら窓の外をみた。外はさらに白くなってきていた。雪、と言うより吹雪じゃないか?とはおもったが雪国みたいでそれはそれで素敵な景色だった。
さっき入ってきたおじさんに頼んで雪景色をバックに写 真をお願いした。快く引き受けてくくれた。
11時10分Ulm駅について、20代ぐらいのお兄さんが入ってきて私と席を1つ隔てた入り口側に座った。さてュンヘンまではあと約1時間だ。日記も今までの分書き終えたので、はがきを書いた。まず手紙を出すと言っといたSさんと友人のAYAへ近況報告。 Ulmを出たあたりから雪は和らいでいた。

ミュンヘンへ着くと雪はすっかり止んでいた。時間は12時過ぎ。とりあえず何よりもまず先に宿探しだ。
ガイドブックを見ていくつかチェックはしている。ミュンヘンにはYHが2つあるようなのだが、そのうち一つは古城YHらしいので、まずそちらをあたってみようと思っていた。 そのYHは市内から少し離れたところにあるようで、Sバーン(地下鉄)でいくらしい。移動の前に駅構内の時刻表を見て明日の運行をチェックした。
その時一人のおじさんに声をかけられた。
・・・後、このおじさんには1日降りまわされることとなるが、そんなことは知る由もなかった。

そのおじさんの名はモハメット(MohamedElfeky)。名前からしてトルコ系だ。
奥さんと二人の息子がいるらしい。レジデンツ博物館(在ミュンヘン)にお勤めをしているとのこと。いわゆる単身赴任でミュンヘン市内のTh-Giehse-Allee地区のマンションにて一人暮しをしている。もっぱらの日本人愛好家なのだそうだ。
なぜそこまで彼のことを知ったのか、話をさかのぼる。

声をかけられ最初はもちろん相手にしなかった。駅で声をかけてくるのはホテルの客引きか、ぼったくりタクシーか、ジプシーぐらいだからだ。
旅の間は特に用心して”人を見たらドロボーと思え”をモットーに行動している。
(あまり用心しすぎても出会いがなくなり旅をつまらなくしてしまうのでその辺の判断は難しいところなのだが)
彼は「HelpYou」と言っている。不慣れな旅行客を案内してやると言いたいようだがそれは好意か裏があるのか、とにかく怪しいし危ない橋は渡らないに限る。
第一案内が必要なほど困ってはいない。だから私は「NoProblem」とだけ答えて、軽くあしらった。さっさと彼から離れようとSバーン乗り場へ向かうエスカレーターを降りた。
しかしどうやら目をつけられてしまったらしい。降りたところでまた会ってしまいしつこくついて回られた。
頼んでもいないのに道案内をしてくれる。どこへ行くのか、と聞かれ宿を探さねばならないからと答えると「良い宿を知っている。そこを紹介するから宿探しは後にしてお茶しないか」と今度はしきりにお茶に誘われた。
とにかくしつこい。まこうにもまけず、あまりのしつこさにとうとうおれた。

彼は早速、喫茶店を探し始めた。地下にも喫茶店はあったが彼は”空気が悪い”とそこは避けた。さっきから咳込んでいる私に気をつかってくれたらしい。「喉にはビタミンを取るのが良い。レモンティーでも飲め」みたいなことを言っていた。結局地上に出た。
そこは駅の外だった。しばらくあちこち歩いて、やっと決めたらしいシンプルな喫茶店に入った。奥の席に座る。私は会話が達者でないが、彼が適当に注文してくれた。レモンティーが運ばれてきた。お茶しながら片言の英語でがんばって会話した。
話の半分も解からない。単語がいくらかわかる程度。会話本を出しても半分も伝わらず、とてもじれったかった。
会話しながらも警戒心は残しておいて、荷物には気を配った。

店を出てさよならするつもりが、そうはさせてくれなかった。
Sバーンに乗ってとある宿に向かうんだと告げると「そこは遠くて良くない。
もっと良いとこ教えてやる」結局宿までついて来て、着いたところは駅近くの私も一応チェックしていた宿だった。
ユースホステルではないが宗教団体が経営していて女性のみが宿泊できるという宿「JugendhotelMarienherberge」。
おじさんが呼び鈴を鳴らすとドアが開いた。受け付けにはシスターがいた。
おじさんはずうずうしくロビーでくつろぎだした。シスターと何か話していたが、解からなかった。
様子から”付き添いだ”かなにか言ってるのだと思う。迷惑な・・・。
シスターは日本語の案内のプリントを見せてくれた。部屋は3種類あり、シングル40DM、2~3人部屋35DM、6~7人部屋30DMとある。少し考えて、2~3人部屋でお願いした。ルームナンバーは109、二人部屋で日本人女性と同室だと伝えてくれた。パスポートを提示してルームキーを受け取った。おじさんはシスターとなにやら話し込んでいたが、 今度は「このあとランチしよう」「ウチに来い」と言い出した。それはやばいだろうと断ったがやはりしつこく食い下がる。「どこか店でならいい」と言ってしまった。
とりあえず荷物を部屋へ置きに行くが、戻るまで彼はロビーで待っていた。
腹を据えて一緒に出かけることにした。しかしきっぱりと断れないのが私、というか日本人の短所である。

どこに行くのだか、彼について行くと地下に下りてSバーンに乗り込んだ。しかし、
アレ・・・切符買ってないよ?余裕の不正乗車をしてしまった。
降りた所は街の中心あたりのようだった。連れられて大きなショッピングモールに入った。さまざまな店があったが、目的は食品売り場だった。どうやら買い物に付き合わされたようだ。 大きなカートを転がしあれこれと入れていく。歩きながら「これは好きか?あれはどうだ?」と聞いてくる。おや?これはひょっとするとひょっとしてランチの買い物?
予想は見事にビンゴ。買い物を終え、再びSバーンで移動してついたところは彼のマンションであった。どうリアクションすべきなのか、家には行かないと言ったのは通 じなかったのか無視されたのか、とにかくここまで来たらもう後には引けないので、警戒しつつも促されるまま部屋へ上がってしまった。 その警戒心に気づいたか、彼は「I’m gentleman notafraid」(私は紳士だ。 怖がらないで)を繰り返した。

履いてきたロングブーツは玄関で脱いだ。ヨーロッパでも靴を脱ぐ人がいるのだな。
横に長い部屋はなかなか綺麗にされていた。彼は早速料理を始めた。私は興味深々と見ていた。なかなかアバウトな調理だった。狭いキッチンだったが、香辛料はさすがそろっていた。
何故か緑茶があった。丸ごと買ったチキンをぶつ切りにしてパプリカなどで味付けしてオーブンで焼いた。焼けるまで時間かかるので、とソファーに座らされた。 冷蔵庫からトマトとモッツァレラチーズのサラダを出してきた。さらにワインを注いでくれた。おずおずといただいたが、サラダがうまい。ワインも甘口でいける。焼けたチキンとフィットチーネ、パスタコンソメスープもいただく。満腹になってしまった。

名刺を貰った。そして名前がわかった。モハメットだ。食事しながらいろいろと話を聞いた。息子のことや仕事のこと、日本人が好きだということなど。部屋には日本語のガイドブックなど置いてあった。私はモハメットと記念・・・というか証拠写真を撮ることにした。 タイマーで1枚撮った。。モハメットは私を日本語で「タカラモノ」と呼んだ。
加えて私はもう友人だから、いつでもこの家に来いと、寝るのも食べるのも心配ない、フリーの宿だ、金はいらん、とまで言い出した。まるで今日は泊まって行けといわんばかりだ。これ以上居座ると本当に宿泊させられそうなので、私は「観光がしたいからもう行く」とハッキリ言った。
気づけばもう5時近くだ。「I want to walktown」彼は「OK OK」と言ってやっと出発を促してくれた。と、思いきや「コーヒーはどうだ?」と聞いてくる。足止めしたいのか、好意で勧めてくれてるのか判断に苦しいが、私は既にブーツを履いていたにもかかわらずそのままソファーに戻らされる。いいと言うのに勝手に作り、ケーキまで出してきた。仕方なく一応いただく。
とっとと出たい私に今度はダンスを付き合わされる。「いいかげんにしろー!」とは言わなかったが、やっと解放してくれた。外に出るともう真っ暗。辺りには雪が降り積もっていた。

送ってくれるだけかと思ったが、甘かった。モハメットはどこまでもついて来る。
というより私がついて行ってる形になってるが。頼んでもいないのに観光案内をしてくれているらしい。あちこち連れまわされ観光どころではない。撮ってやるといってカメラマンにもなるモハメット。そのうち歩きながら肩を抱いてきた。(心の中で”ヤメテー”)土産がいろいろ並んでいたデパートに入った。
日本人が沢山いた。モハメットは私に”土産”と言ってチョコレートを買ってくれた。
彼が勤めているというレジデンス博物館を通る。「明日は仕事に来てるので是非見に来い」と言ってきた。残念だが、明日はミュンヘンを出ると返した。博物館近くの彼の良く行くというコーヒーショップに入った。女性の店員は顔見知りのようだった。またコーヒーを飲む。テイクアウトでケーキまで注文するモハメット。今までさんざんおごってもらってさすが悪い気がしてきたので、ここでは初めて私が支払った。

さあもう7時。いいかげん帰りたい。
モハメットはまたしても「家に帰ってワインを・・・」と言ってきた。とことん帰したくないようだが、そろそろ足止めのネタも尽きたようだ。しかし、いいかげんあまりのしつこさになんだか腹が立ってきた。とにかく宿へ帰ると言い張り、なんとかやっと宿の前まで送ってくれた。
別れ際になって、お礼ぐらいは・・・と思ったのは間違いだったか。
強引に抱きつかれた腕から逃げるように宿に入った。

 斬新な体験をした。しかしおかげで1日丸つぶれだ。無事に帰れたのは運が良かったのだろうか。部屋へ入ると同室の人が帰っていた。挨拶もそこそこ私は今日の出来事を興奮気味に話した。名前は聞きそびれたが、その人は大学4年で1ヶ月の卒業旅行の最中だとか。
静かでおとなしい感じの人だった。記念に一緒に写真を撮った。

とりあえずシャワーを浴びることにした。昨日は使いそびれてしまってホントまいった。同じフロアにあった。だがしかしショックなことにまたもやお湯がぜんっぜんぬるすぎだった。ハッキリ言ってお湯ではない。 しかし、我慢して凍えながら使用した。ほんとツイてない。あっついシャワーを浴びたいよー!

部屋へ戻り、彼女と旅のことなんかを話しながら明日の予定を考えた。行き先を決めかねていた。
かの有名なノヴァンシュタイン城を訪れたいが、更に北へ行くと雪がひどいだろうし、また南に戻ることを考えると随分なタイムロスになってしまうのだ。
考えているうちに眠くなってしまい、いつのまにか寝てしまった。真っ白い部屋とふかふかの布団が気持ちいい。
今日はほんとにつかれました。

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