ぶっそうなタイトルですみません。連日ニュースで報道されているように海外で立て続けに痛ましい事件が起こりました。被害者のご冥福を心よりお祈りいたします。死後の世界があると信じているわけではありませんが、他に言葉が見つかりません。
シリアのジャーナリストの事件は特殊な例としても(一般旅客が赴くところではないため)ルーマニアの事件の被害者はまだ20歳の女学生です。期待と不安で胸いっぱい旅に出発したであろう彼女の心境を察すると本当に胸が痛く残念でなりません。
私が初めてヨーロッパを海外一人旅をしたのもこのくらいの年齢でした。「ヨーロッパを20歳の女学生が一人旅する」事はけして無茶な行為ではありません。この事件は誘発要因が2つあったと思います。
ひとつは、声をかけてきた人を信用してしまいついて行ってしまったこと。
ひとつは、深夜に到着し移動するスケジューリングであったこと。
「海外では声をかけてきた人を簡単に信用してはいけない」
ガイドブックの安全に関するページによく書かれている言葉です。彼女がこれを知っていたかどうかはわかりませんが、これを知識として持っていても、やはり実際に体験してみないと本当に理解はできないものでしょう。ましてや異国に深夜に到着し不安も倍増している中、若い男性に親しげに声をかけられたらホッとして信じてしまうのではないでしょうか。だからこのことで迂闊すぎるとか自己責任だとか責める気にはなれません。
「深夜到着はなるべく避ける。女性ならなおの事」
初めて訪問する地に到着するのに、そこそこ旅慣れている私でさえ深夜到着というスケジュールはなるべく避けます。もしくはどうしても深夜に到着するならば、その日は移動しないで空港内/近くのホテルに滞在して翌朝移動します。実際20歳でイタリアを1人旅した時、現地到着が夜遅くになることを避けるため乗換え地のモスクワ空港であえてトランジットホテルに1泊し翌朝の便で移動するという選択をしました。初めての海外個人旅行でハタチの小娘(私の事)でもそのくらいの判断はできたのです。
しかし彼女は深夜に空港に到着したうえ鉄道駅まで移動し夜行列車に乗るという無茶なスケジュールを組んでいました。本当にそんなに急いで移動する必要はあったのでしょうか。このスケジュールを立てたのは本人なのか所属団体だったのかはわかっておりませんが、無茶なスケジュールであったことは確かです。
この事件は、海外一人旅、特に女性の海外一人旅のハードルを少し高くしたことでしょう。旅に興味を持っていた人はもとより、ただでさえ難しい「両親の説得」も困難になったのではないでしょうか。
ここで表題の件に触れます。
2011年度の年間の海外旅行者は16,994,200人/約1700万人です。うち死亡者数592名。この中で「海外旅行中に犯罪被害で死に至った例(病気や事故を除く)」は何件あるか調べてみました。
14人です(外務省 海外邦人援護統計より16ページ)
この統計から計算すると海外で殺害される確率は
14÷1700万人=0.00008%
つまり121万人に1人です。
日本国内の殺人事件件数と比較してもけっして高くはありません。
もちろん「少ないから大丈夫」という気は毛頭ありませんし、毎年10人前後の被害者がいるのは事実ですから充分な知識と防止対策は必要です。
ただここで言いたいのは、報道を受けて一概に「やっぱり海外は日本より危険」と決めつけず、冷静で適正な判断をしていただきたいということ。旅を必要以上に躊躇しないことを願うのです。素晴らしい旅のほうが多いのだから。
余談ですが、今回海外旅行での死亡・障害件数を知ったことで、海外旅行保険の「死亡保障」が保険料の割に高額補償(数千万~数億)なことや「傷害・疾病保障(病気やケガ)」保険料が高いこと(件数が多いから)に納得してしまいました。この統計値は海外旅行保険料の算出に大きくかかわっているわけで、平たく言えば件数が多い損害・事件の多い国は保険料が高くなったりするのですね。
ここで興味から余計な計算。
単純に1700万人が3000円の旅行保険をかけたとしたら
1700万x¥3000=¥51,000,000,000
0が多すぎてとっさにいくらなのかわかりませんでしたが510億円。けっこうな金額ですね。もちろん3000円もの保険をかけずにクレジットカードの保険で済ます人やその逆にもっと高額な保険を掛ける人もいるわけですが、まぁ大体、海外旅行保険市場の規模の目安はこのくらいなのかなと思った次第です。
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